洞窟探検に興味はありませんでしたが、せっかくポカラに来たんだからココでしか見れないところに出かけてみようと、ペワ湖畔でタクシーをつかまえ「ドコか面白いところありますか?」と運転手さんに尋ねたら『そりゃ、お客さん洞窟に行ってみるべきだよ』とオススメされたので、車に乗って約30分マヘンドラケーブという鍾乳洞に行ってみました。
入場券を買って、地下へ進む坑道の石段を下りていくと、なま暖かい空気を感じました。洞窟内の空気というモノは季節が冬なら暖かく、逆に夏は涼しく感じるのです。地底に閉じこめられた空気は温度変化が少ないために起こる現象だそうです。一年を通して、温度変化の少ない井戸水と同じ原理なのでしょうね。
石段を下りきると、洞窟のはじまりです。洞窟は自然にできた鍾乳洞を観光用に開発しているので床から天井までは約1.8メートル。10メートルごとに裸電球が灯されているので、特別な装具やヘッドライトなどは必要なく普段着のままで奥へ進めます。足元は舗装されておらず岩や土がむき出しになっているので注意しながら歩きましょう。
予想はしていましたが、洞窟を半分ほど進んだところで停電に見舞われました。入り口から既に50メートルほど入った場所だったのですべての視界が奪われ、ハッキリ言って怖かったです。前後左右、上も下も真っ暗闇でなんにも見えません。
長野県の善光寺さん、地下の「戒壇巡り」は有名ですが真っ暗闇でも前後にお客さんのや息づかいが聞こえるので真の恐怖にはほど遠い感じがします。あまりメジャーではありませんが香川県の善通寺さんでもおなじく「戒壇(かいだん)巡り」が行われています。
こちらはシーズンと時間帯を選べば他にお客さんがいない状況を作る事ができます。ポカラの洞窟で突然停電に見舞われ、電球が消えた時の恐怖感は後者の善通寺さんで体験した「戒壇巡り」を想い出しました。
声も、音もしない無音で視界ゼロ。想像してみて下さい。
運良く身につけていた撮影用のベストに非常用のロウソクが入っていたので火をつけあたりを照らしてみました。小さなロウソクの炎のおかげで視界が復旧しひと安心。鍾乳洞の壁を観察するとまさに今、一滴ずつ地下水がミネラルを石灰石に吸着させながらしたたり落ちる様子を目視するコトができました。
洞窟探検を終え、地上に戻り売店でチャー(ミルクティー)を注文しタバコを吹かしていると山の雑木林の中でひときわ異彩を放つ「桜」を発見。今日は、タクシーの運転手さん勧められて訪問した洞窟探検でしたが、富士山麓の風穴や、秋芳洞それにマレーシアのバトゥーケーブなどの洞窟を見てきた筆者にとってポカラのマヘンドラ洞窟はコレといった魅力に欠ける場所でした。
この気持ちを裏付けるかのように、洞窟に訪れる外国人観光客は少なくてローカルのツーリスト(信仰の対象?)やネパールの小学生(遠足か修学旅行?)が相次いで来場していました。このマヘンドラ洞窟にはかつてコウモリが生息していたそうですが2004年現在、ほとんど見かける事ができませんでした。このマヘンドラケーブから更に10分ほど山奥にあるチャメル洞窟では、現在でも多くのコウモリが生息しています。