ネパールの首都カトマンズ市内で外国人観光客に一番人気のタメル地区。あか抜けして洗練されたレストランやホテル、それに観光地の証し「おみやげ屋さん」の立ち並んでいる街並みです。観光客だけではなく、地元の人たちも買い物やビジネスにやって来るのでいつも人が溢れる混雑した街でもあります。
しかし、散歩の途中にふと路地を入ってみると別世界のような寺院にたどりついたり、何気ない道端にちょっと変わった仏像や、「世界のドコにもない窓」(実際にあります。ホントです)があったり・・・タメルの街をじっくり歩いてみました。
コインが打ち付けられた仏像。近くでみるとネパール・ルピーの硬貨がクギで幾重にも重ねられて打ち付けられているのが確認できます。ちょっと遠目からみると「いったいアレはナンだろう?」と想像もつけられないような形状をしています。立派な由緒のある仏像です。地元の人たちはひっきりなしにやって来て、仏像の中央部に右手を伸ばし祈っています。
ネパール語で「デセモルジャ」と呼ばれている木彫の窓。デセモルジャを日本語に訳すと「世界のドコにもない窓」という意味だそうです。筆者も世界各地を廻っていますが、「そういえば、こういう窓って、いままで見たことないよな~」と思いました。
この珍しい窓は名所や観光施設ではなく、ごく一般的な建物に何げなく飾ってあります。近くの人に聞くか?ガイドさんに教えてもらわないと「ドコにあるのかわからない窓」なのでちょっとガンバって探してみて下さい。
タメル地区の南部にあるダルバール広場(旧王宮)の立派な木製窓。立体的は木彫は「窓」というより芸術品のような存在感で、ネパールの宗教芸術の高さを語っています。
大胆で繊細、華麗でシンプルな窓はガラスやブラインドがなかった時代に実用的な機能も果たしていたようです。明るい場所から暗い場所を見ることができないマジックミラーの原理のような仕掛けが隠されています。
ネパールで有名なクジャクのモニュメントの入った飾り窓も含めて、木彫の窓には小さな穴が開いています。建物の中(暗い場所)から外(明るい場所)の様子は丸見えなのですが、逆は見えません。同じような仕掛けは、筆者が普段生活しているマラッカにも昔の人の知恵で作られたモノが残されています。
マラッカには中国から渡来した中華系移民男性と現地のマレー人女性が結婚し生まれた子の男児をババ、女児をニョニャと呼び、子孫達が「ババ・ニョニャ民族」と呼ばれるプラナカン文化が根付いています。
このババニョニャ民族文化を紹介している博物館の玄関ホールに竹をハニカム構造に編み上げ窓ガラスの装飾に使っているのがそれにあたります。部屋の中から外は見えるのに、明るい屋外から暗い室内は見えないマジックミラーのような竹製建材なのです。
ネパールの窓が中国に伝わったのか?それとも中国の仕組みがネパールに伝承されたのか?どちらが先なのか私には判断つきかねますが、室内のセキュリティ、プライバシーを守る!という習慣は昔からあったんですね~。