ネパールの人たちは一日2食が基本、と聞くと「えぇっ?」と驚かれる方も少ないと思います。筆者も最初に聞いた時は驚きました。たった二度の食事で大丈夫なのかな?というのがホンネです。でも実際ネパールの人たちと一緒に時を過ごしているとなるほど納得。
ダルバート(ご飯とスープ、それにおかず)をキチンと摂るのが「食事」であり、コレとは別に日に2~3回お茶と一緒にモモ(ネパール風餃子)や揚パンをおやつにして食べる習慣が根付いているのです。
筆者は、一皿30円程度の「モモ」を昼食代わりに食べていました。あのボリュームの餃子を食事にカウントせず、おやつとして扱うんだから一日2食でも大丈夫なんだな~と後から納得できました。
ティータイムには、甘いミルクティーを飲みながら「カジャ」と呼ばれるおやつを楽しみます。カジャには、さまざまな食品が供されます。ネパール風餃子「モモ」や、じゃがいもカレーパイ「サモサ」などしっかりお腹におさまる軽食から、煎った豆、季節のフルーツ、お菓子、生菓子、それに今回ご紹介する揚パン(シェル・ロッティ)などをおやつ替わりに食べるモノを総称し「カジャ」と呼んでいます。
「シェル・ロッティ」とはドーナツのような輪のカタチをしている「ネパール風揚げパン」をさします。このページの一番上に載っている写真のロッティは「ラカマレ」(Lakha Mare)と呼ばれています。ラマカレとは聞き慣れないコトバですがネパール語で「死ぬまで食べろ!」という意味だそうです。
普通は輪が一重のみなのですが長さ1メートルの小麦棒を八の字できれいに折りたたんでカタチを整え揚げていく「大型ロッティ」、つまり大食漢な食いしん坊さんの欲求を満たすボリュームを備えているのです。
小麦粉に、塩と水を加え混ぜ合わせながら力一杯こね上げていきます。特筆すべき点は揚げ物に使っている油をミックスするコトです。詳しいレシピはお伝えできませんが、小麦粉を5キロほど大きなタライに入れて中央を窪ませそこに塩、水を加えるまでは想像通りでした。この先の工程には驚きました。
大きな取っ手付きのカップ(推定250cc)を使ってグラグラ煮えたっている揚げ物用の油を3杯ほど小麦粉に加えるのです。そして外から内へ混ぜるようにして練り上げていきます。ダイナミックな練り込む職人さんの動きを見ていると、讃岐うどん職人を思い出してしまいました。
鍋は左右に3個並んでおり、筆者の推察によるとそれぞれ油の温度が違っているようでした。まず低温でじっくり時間をかけて中まで火を通し水分をとばし、高温の鍋に入れ替えてカリッと香ばしい仕上げをしているようです。一連の作業を行う作業場は、観光客が行き交う商店街に面しています。オープンキッチン?風に誰でもドコからでも見る事ができるレイアウトになっていました。こういう売り方は衛生面で安心ですね。
ネパールの人たちの一日2食の食習慣を支える貴重なティータイムの「おやつ」に欠かせないシェル・ロッティの製造直売所はタメル地区から徒歩10分。通称「世界のドコにもない窓」こと「デセモルジャ」のすぐ近くにありました。商店街の中で今日もガンコそうなオヤジさんを筆頭にチームワークを発揮して朝から晩まで揚げいているコトと思います。興味のある方はぜひ訪ねてみてください。一見の価値はあると思います。