カトマンズで見つけた銀細工のお店 Candy Moon Jewellery Workshop。店頭に並べた銀細工の小売りもしていますが、ネパール銀細工のワークショップです。お気に入りの宝石を持ち込んで職人さんと相談しながらデザインを決めて指輪やペンダントの創作を注文することができます。
つまり、アナタだけのオリジナル・アクセサリーを一点からオーダーできるワークショップなのです。制作料金は、日本の相場と比べるとアッと驚く安さです。使用する銀の値段は相場に影響を受けますがグラム単位の量り売りで購入したら制作開始です。
宝石を受ける台座を鍛造で叩き出し、カタチになったらヤスリで削って微調整します。すき間がなくなったらここで溶接工程(ソーダリング)を行います。接合剤にも同素材の純銀を使用します。ガスバーナーで台座の銀を焼き付け高温にします。
接着に使う銀のカケラをピンセットで接合部分に近づけると液化し接合部分に入り込みます。台座の銀は高温のためピンク色に染まります。メチャクチャ高温で触ると間違いなくヤケドしますから触っちゃダメですよ。
マレーシアで金属加工といえば、ピューター(スズ製品)が有名です。筆者は、撮影のためピューターの工場にも出入りしていますが、ネパール銀細工の工房とは違う工程で造形されます。マレーシアでは、素材の金属(スズ合金)を高温に熱っして液化させ鋳型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」で製品が作られます。
ネパール銀細工の工房では「鍛造(たんぞう)」によって製作されます。鍛造とは金属をコンコンと叩いてカタチを作っていく方法です。鋳造は「型」(モールド)を作ってしまえば同じカタチのモノを大量に造れますが、鍛造の場合「型」は不要ですが一点ずつ手作りに頼らないと製作できません。言い替えれば、ネパール銀細工の特徴はすべて一点モノということです。
接合が終わり、冷却したら、仕上げの銀細工に入ります。デザインの決め手「透かし彫り」のパターンをエッチングの要領でトレースします。職人さんの長年培ってきた技の見せ所です。
設計図も、サンプルも見ずにアタマの中にあるデザインを指先の彫刻刀に伝え、カリカリと銀盤を刻んでいきます。定規やコンパスも使わず並行直線を描いたり、曲線をクルッと刻んだり。見ているコチラが驚いている間に粗彫りは完成です。
上の写真は、気合いの入った銀細工の粗彫り行程を終えた指輪です。冠の部分に宝石が鎮座し、最終研磨を受けるとピカピカ、ゴージャスな銀の指輪の誕生となります。
この商品は、外国人観光客がチベットの山中でトレッキング中に出会った商人から手に入れた宝石をカトマンズ滞在中にこの銀細工の店に持ち込んで、職人さんと相談。石にあった台座のデザインを決めてオーダーメイドで注文した品です。
同じく、オーダーメイドの注文で造られている途中のペンダントの台座。メチャクチャ細かい透かし彫りがなされていますが、ホンの1ミリでも手を滑らせたらご破算!最初から作り直ししなきゃダメです。デリケートで繊細な銀細工が持つ独特の輝きに魅せられてしまいました。
下の写真は、ホンモノの宝石(ガラス玉じゃないですよ)を埋め込んだ銀の指輪。小ぶりでオシャレな商品群ですが値段を聞いてまたビックリ。ひとつ300円ちょっとでした。高いのか?安いのか?相場感覚を持ち合わせていない筆者は値段を聞くだけで購入しませんでした。
写真では紹介していませんがブレスレット、イヤリングもズラリと商品が揃っています。しかし、この店はおみやげ屋さんではなく、銀細工の工房ですから無理やり売りつけられることはありません。
「ナマステ」(こんにちは~)と声をかけて、銀細工の仕事見せてもらってもイイですか?と職人さんにキチンとお断りすれば歓迎されるはずです。みやげ物屋さんだったら値段をぶっかけられ、値引き交渉に入らなきゃダメですが、職人さんたちはとっても正直な値段を付けてきますからあんまり値引いて困らせちゃダメですよ。
Tony'sNet見てきたといえば、安くしてくれるかも・・・。