モチモチとした皮に包まれた、ミンチ肉と野菜と香辛料。見た目も作り方も日本ですっかり定着しているギョウザそのものです。実際には焼き目を付けず、スチームで蒸し上げるため「蒸しギョウザ」と呼ばれています。
中華料理系の飲茶料理に出てくる蒸しギョウザとは、具材やつけダレが異なるため別料理となるでしょう。ネパール餃子ことMOMO(モモ)を簡単に表現するなら、焼き目の付いていないギョウザ。それがモモ(MOMO)と呼ばれるネパール名物料理です。
ネパールのローカル料理食堂ならほとんどのお店で注文できるメニュー。どこかの食品メーカーが機械を使って一括して作った食材が冷凍で供給されているのではありません。すべて手作りです。皮も具も、付け汁として使うチリソースも、各店それぞれに違うレシピで作られています。
小麦粉を塩と水でつないで練り込み一晩寝かせ、モチモチ感を育むことから始まります。MOMOの皮、一枚分のサイズにあらかじめ小さくちぎって丸めたモノをめん棒を使って手早く薄く円く引き延ばします。
包み込む具は、メインのお肉にタマネギ、ワケギ、ニンニク、ショウガなどの香味野菜のみじん切りを塩と香辛料(各店それぞれのレシピ)で粘りが出るまで根気よく練り込みます。
多民族が生活するネパールでは、宗教上、厳しい戒律により食のタブーが設けられています。このため、お店によっては牛肉を使わず、鶏肉だけとか極端な例ではベジタリアン専用の野菜のみのMOMOを提供している店もあります。MOMOの皮に具を包み込むその方法や手順はまさにギョウザの包み方と同じです。
MOMOの調理方法は大きく分けると3種類。(1)スチームと呼ばれている蒸し上げ餃子。(2)フライドと呼ばれている揚げ餃子。(3)スープと呼ばれる水餃子。代表的なメインの具も3種類紹介しておくと(1)チキン・鶏肉、(2)ビーフ・正確にはバフと呼ばれる水牛、(3)ベジ・野菜、ベジタリアン御用達のMOMOです。
ヒンドゥー教徒や仏教徒の一部は、牛が神聖な動物なので牛肉を食べることが禁忌とされています。しかし、水牛ならば食べても良いとされています。牛肉をビーフ、水牛の肉をバフと呼び、バフの肉を包んだモモはヒンドゥー教徒でも食べて良いことになっています。
包み終えた、ギョウザは大型の蒸し器に行儀良く並べていきます。重くてガッシリしたフタをしてココから一気に強火で蒸し上げます。強力な火力で大きな釜ごとグツグツさせることおよそ5分。
頃合いを見てフタを開けると辺り一面に勢いよくスチームが溢れるのと同時に、MOMOの蒸し上げられた香りが漂います。客寄せ効果抜群!一瞬のワザです。
練り上げた具にしっかり下味が付いているのでこのままでも美味しく召し上がっていただけますが、忘れちゃならないのがチリソース。各店ごとに秘伝のレシピがあるようで色も香りも大きく異なりますが、共通してピリ辛以上激辛未満に仕上げられています。
上の写真はカトマンズの古寺の近くで見つけたMOMO専門店のチリソース。塩味控えめで激辛でした。付け合わせのグリーンチリの酢漬けが抜群の漬け具合で、ピリ辛感を味あわせてくれました。