ミーゴレン 炒麺

ミーゴレン(マレー風やきそば)

「ミー」は麺を意味し「ゴレン」とはマレー語で『炒める』という調理方法を意味します。ミー・ゴレンとはマレー風の「やきそば」のことです。ナシ・ゴレン「焼きめし」が屋台のキングだとすればミーゴレンは肩を並べる「屋台の女王さま」と呼べるでしょう。

ナシゴレンと同じくミーゴレンもマレー系・中華系・インド系民族が料理するミーゴレンはそれぞれに特徴があります。機会があったら食べ比べしてみて下さい。

筆者が個人的に「日本の焼きそばのルーツ?」と思っています。味は違うけど見た目が日本の焼きそばと変わらないのは、過去の太平洋戦争中数多くの日本兵がこの地を訪れ食し、帰国後日本で広まったのでは?と勝手な想像を膨らませています。機会があれば日本の料理研究家の方に聞いてみたい気がします。

マレー系マレーシア人の作るミーゴレン

マレー系の「ミー・ゴレン」最大の特徴はその価格にあります。後述の中華系・インド系のミーゴレンは平均市場価格で3~5リンギ(約80~150円)ですがマレー系ミーゴレンは1リンギ(約30円)前後で売られています。

安さの秘訣は、具にあります。麺だけを炒めた非常にシンプルな仕上げになっています。たっぷりと使った油に各店自慢のミックスチリ(サンバル系)をなじませたものに焼きそば(ミー)を炒め合わせ、仕上げにもやし、タマネギのスライス、キュウリの細切りをあえたシンプルな麺がメインの「焼きそば」なのです。

タマゴを追加すると、目玉焼きが載っかってきますがこの追加料金も50セント(約15円)前後です。ローカルの方はミーゴレンに酢(ビネガー)を振りかけて食べていらっしゃいます。マネして酢をかけてみたらそれなりに風味が楽しめたので、マレー系ミーゴレンを食べるときは酢を使うようになりました。

ミーゴレン 炒麺

中華系マレーシア人の作るミーゴレン

中華系ミーゴレンの特徴は具の多さでしょう。エビ・鶏肉・豚肉・カマボコ・青物野菜・もやし・炒り卵まさに具の博覧会状態です。マレー系のミー・ゴレンの2~3倍する料金も納得です。注文する際に、辛さの好みを聞いてくれるので激辛料理の苦手な方は、『ノォー・チリ』と宣言することをお忘れなく!

マレー系のミーゴレンは、一度に複数のミーゴレンを一つのフライパンや鉄板で焼きます。最初に炒め用の油に香辛料やチリで色付いたラー油を使うから辛さの調節はできません。その点中華系ミーゴレンは、一皿ずつ調理するためお客さまの好みの辛さに調整できるのです。

ニョニャミーゴレン鶏肉入り

インド系マレーシア人の作るミーゴレン

インド系ミーゴレン最大の特徴は多用するスパイスの奥の深さにあるでしょう。ひとくち食べたあとにスパイスのハーモニーが口中から舌上で繰り広げられるのは第1章で紹介済みのナシ・ゴレンの特徴そのままです。

インド系ミーゴレンの具には、キャベツや青物系などの野菜が多く使われます。鶏肉・炒り卵・もやしなどの定番具に加え多くの店でサイコロサイズの揚げ豆腐を使っています。鶏肉を使うのは、牛肉がダメとかブタ肉がダメ!という宗教的な背景から最大公約数である鶏肉を使っているようです。

最後に一言。インド系のもう一つの特徴は「乾いている」感じがすることでしょう。使う油の量がマレー・中華系に比べて少ないのか?その秘密はつかんでいませんが確かに乾いた印象を受けます。パサパサした感じではなく、ちょっとネットリした感じを受けます。

インド系マレーシア人の作るミーゴレン